「ジャスト」で吹け!
「低音楽器は遅れて聴こえがちだから、少し早めに演奏するといい」
こういうコメントを指導者の口から聞くことがある。でも、これって本当なんだろうか?
確かに低音は遅れて聴こえやすい。チューバの音の立ち上がりが他の楽器に比べて悪いのも事実だろう。
本当に遅れている、重くなっているから「そういうふうに感じた方がいい」というなら分かるが、本気でなんでも早めに吹いた方がいい、というのなら問題があると思う。
特に、上記したコメントの「少し早く」という部分に問題がある。
なんともアバウトな表現だ。“少し”ってどれくらいなんだろう?
こういうアドバイスを鵜呑みにして、やはりなんともアバウトなリズムの取り方をする生徒をレッスンしたことがある。
一度身についてしまった、こういうリズムの癖は矯正するのが難しい。
正確なリズム感、テンポ感を身につけるためにも、メトロノームに合わせて「ジャスト」で音を出す練習をすることが重要だ。
低音楽器であっても、チューバであっても「ジャスト」で音を出すことは可能だ。
遅くなる、重くなるのは、楽器ではなく演奏者に問題があるのだ。
自分は学生時代にジャズをやっていたこともあり、チューバという楽器の音の反応の悪さと葛藤していた(リズム感も悪かったし・・・)。
反応良く吹くための奏法も研究したつもりだし、反応が悪い時全てが楽器のせいではなく、自分に問題があることも実感した。
今では、自分は音の反応に関しては、いい方だと思っている。
しかし、チューバという楽器は、逆を求められる時もある。
つまり、チューバという楽器は反応が悪くて、少し野暮ったいというか、(音のイメージが)重いという一般の認識があるのだ。
事実、随分前のレコーディングで「もう少しチューバらしく重ために・・・」と言われたことがある。
そういう意味では、自分のチューバはチューバらしくないのかもしれない。
特に、クラシックでは“チューバ”が必要なんだから、らしくないチューバなんて必要ないかも・・・。
先日のレコーディングで御一緒したバリトン・サックスの方が、友人に対して、
「すごく音の反応が良くて、チューバに対する概念が変わった」
と言って下さったらしい。
ありがとうございます!自分にとって最大級の褒め言葉です!
by adacha | 2006-03-02 22:47 | 吹奏楽 | Comments(0)