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師匠 稲川栄一先生

今日、自分のチューバの師匠である稲川栄一先生が書いた教則本を購入した。


稲川先生は、本当に素晴らしい方だ。

長年ドイツのオーケストラで演奏活動をした後、日本に帰国されて我が母校の国立音楽大学の講師になられた(他にも東京芸術大学、洗足学園音楽大学の各講師)。
自分が大学4年の時だった。

稲川先生が戻っていらしたおかげで、日本のチューバ界は大きな変化を遂げたと言えるだろう。

なんせクラシック音楽の本場、ドイツのオーケストラで演奏されていたのだから、そのお言葉にはものすごい説得力がある。


自分からすると、日本のクラシック業界(特にチューバに関して)は、考え方がものすごく片寄っているように思える。

ドイツ流の考え方が一般的かと思いきや、金管楽器はアメリカ色が強かったり・・・。
自分はE♭管のチューバを愛用しているが、日本のオーケストラでは敬遠される傾向にある。
イギリスのオーケストラでは一般的なのに・・・

いろんな国の良い所を吸収して、日本独自の良いものを作ろうとしているのかもしれないが・・・
あまりに折衷されて、人によって考え方が片寄っていたり、中途半端だったり・・・。


稲川先生はドイツで活動されていたこともあり、特にドイツ音楽(ワーグナーのオペラ等)に関しては、ものすごく厳しかった。

かといって、考え方が片寄っているのかと言えば、そんなことはない。
自分がE♭管のチューバを吹くこと、ジャズをやっていることなどに関しては、寛大に受け止めてくださった。

確かに稲川先生の仰ることは、ドイツでの経験からくることが多いので、人によっては片寄って感じるかもしれない。
しかし自分に言わせれば、そう感じる人間の方が物の見方が片寄っていて偏屈なのだ。

ワーグナーのオペラはドイツに於いて、言ってみれば伝統芸能。
日本で言えば、歌舞伎や狂言に値すると思う。
その伝統芸能を本場で身に付けてこられた先生の仰ることに、ウソ偽りがある訳がない!
自分の知っている限り、先生の言うことを聞いていれば、間違いはないのだ。


昨年、稲川先生は還暦を迎えられた。
10月には、そのお祝いの会が都内で泊りがけで行われた。
一緒に風呂に入って先生のお背中を流したり、酒を呑みながら話をしたのは本当にいい思い出だ。

そして、祝いの会の最後に先生が流した涙・・・
自分は一生忘れないだろう。


今朝久しぶりに電話をかけ、この度音楽科のある高校でレッスンすることになった旨を伝え、まず基礎を教えるにあたりどの教則本を使うのがいいかを改めて相談した。
先生が教則本を出しているのは知っていたし、先生が御自分のレッスンでもそれを使っていることも知っていた。

お話をしてみて、やはり先生の教則本を使おうと決め、早速購入したという訳だ。

稲川先生曰く、「足立、チャンスがあったらあの教則本の使い方を教えてやるよ」

先生、チャンスって・・・なかなかお会いすることもありませんし・・・
いえ!また電話させて頂きます!
その時には、是非御指導下さい!


還暦を迎えられた稲川先生、お身体には十分お気を付け下さい。
そして、これからも御指導のほど、よろしくお願い致します!!

by adacha | 2006-04-13 23:46 | 音楽(ノンジャンル) | Comments(0)

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