人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ラビリンス(スティングの新作に関して)

スティングの新作「ラビリンス」が発売された。


今日発売ということだが、こういったものは大概前日には出荷されているので、昨日買いに行ったらやはり売り出されていた。

買いに行くまでは、
「クラシックのアルバムということだが、クラシックのコーナーに置いてあるのかな?それともスティングの他のアルバムと並んで売ってあるのかな?」
と考えていたのだが、案の定、スティングの他のアルバムと一緒に置いてあった。


昨日から、もう6〜7回は通して聴いただろうか。
率直な感想・・・

個人的には、とても良い出来だと思う。
リュートの伴奏のみによって歌われているシンプルな内容なだけに、つい聴き入ってしまう。
それにしても、スティングは上手い。

自分が、ジャズもロックもクラシックも好きな人間だから、何の違和感もなく受け入れることが出来た。

というより、クラシックのアルバムとはいえ、これは単純に“スティングのアルバム”なのだ。
スティング自身がノンジャンル的な活動をしているし、今までもクラシカルな要素のある楽曲を発表したこともあった。

クラシックのアルバムとはいえ、そこには間違いなくスティングが存在している。

何をやってもその人でいることが出来る、そんな強い個性というのは、とても重要であり、貴重なものだと思う。
そして、自分はそういうミュージシャンが大好きなのだ。


スティング自身の言葉による解説文を読むと、このアルバムが突発的な企画ものではないことが分かる。
また、ロック・シンガーの半ばふざけた取り組みでもないことが分かる。
このアルバムは、長い歳月をかけた流れの中で、作られるべくして作られたものなのだ。

解説文の中で、スティングが“自分はロック・シンガーだ”といったことを書いていたのは笑った。
あんた、以前「自分はロック歌手ではなく、ポップス歌手だ」って言ってたじゃないか!
クラシック愛好家が読むことも考慮して、分かりやすく書いたのかな?

アルバムの内容としては、コーラスを多重録音しているところがあったり、朗読のバックでシンセの音がしていたりと、単純なクラシックのアルバムとは一味違っていて楽しめた。

スティングという歌手が歌っているせいなのか、17世紀はじめの歌曲なのに、ポップ・ソング的な空気も感じられた。
クラシックの専門家(愛好家)、特にジョン・ダウランドに精通している専門家が聴いて、どう感じるのかは分からないが・・・
単なるスティングのファンとしては、オペラ歌手のような声で歌い上げられたら、逆に興醒めしてしまうだろう。

また、一般的なスティングのファンが、このアルバムをどう評価するのかも自分には分からない・・・


近年、日本でもアメリカでもカバー・アルバムというものが多く発売されている。
もしかしたら、
「そんな最近の曲(といっても7〜80年以内)をカバーしてどうするんだ?それなら俺はもっと古い曲をカバーしてやる!」
と考えたのかどうかは知らないが、ひねくれ者のスティングのことだから、そんな考えもあったのでは、などと想像してしまう。


とにかく、聴いていて落ち着くアルバムだ。
夕べも部屋を暗くして、間接照明を付け、酒を呑みながら聴いたが最高に気持ち良かった。
そういう意味では、17世紀の歌曲が、ポップ・ソングにもジャズのスタンダードのようにも聴こえて来る。
そんな風に、古い歌曲を楽しめるアルバムを今回作ったスティングの功績は、大きいかもしれない。


ピアソラのタンゴのブームがあったように、ジョン・ダウランドのブームが興るのだろうか?
そうなったら、それこそスティングの思うつぼである。

by adacha | 2006-09-27 18:15 | 音楽(ノンジャンル) | Comments(0)

名前
URL
削除用パスワード