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2008年度課題曲

昨日、来年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲のスコアとCDが届いた。


で、今日聴いてみた。


課題曲が届くと、まずは一度、ただ聴いてみる。
第一印象でどの曲が良いかを確認するのだ。

これは、ある意味重要なことだと思う。
コンクールの審査員には様々な人がいる。
吹奏楽が大好きで、その年の課題曲は全てスコアも読み込んでいるという人もいる。
普段全く吹奏楽には携わらず、審査の時に初めて聴く人もいる。

ただ聴いた感じの印象が良い曲を選ぶということも、審査員の印象を良くするためには、(ちょっとしたことではあるが)大切なことかもしれない。
(無理に難しい曲をチョイスしても仕方ないが・・・)


次に、スコアを見ながら聴いてみる。
そして再び、ただ聴いてみる。

まず耳で聴いて、次に目で聴いて、最後に心で聴くといった感じか・・・。

この作業の後に、自分だったらこの曲を人に薦めるかなぁ〜、という曲をピックアップするわけだが・・・今年は難しいねぇ〜。

余裕があれば、全曲を何度か音出しをし、自分の団体にあった曲を選ぶのが一番良いかもしれない。


以下、あくまで個人的見解ですが・・・


1番の「ブライアンの休日」は、朝日作曲賞をとっただけによく書かれている。
ポイントはトランペットだろうか・・・。
トリオ以降、内藤淳一節全開!といった感じ。
しかし個人的には、そのトリオ以降の展開があまり好きではない。
正直、聴いていてちょっと飽きた。
付点8分音符の軽やかな感じが難しそうだが、それこそがこの曲の課題なのだろう。

2番の「晴天の風」は、2005年度の「サンライズマーチ」に続いて、高校生の作品。
正直、高校生がここまで書いているというのは、素晴らしいことだと思う!
全日本吹奏楽連盟のホームページ上で、冒頭1分を聴いた時は、あまり印象が良くなかったのだが、今回改めて聴いてみるとそれほど悪くない。
ただ、この曲もトリオ以降が問題か・・・。
初めて聴いた時、CDが跳んでいるのかと思った・・・。
そのトリオ以降を、違和感なくさらっと演奏出来れば、面白いかもしれない。

3番の「セリオーソ」は、素晴らしい作品だ!
(さすが、浦田健次郎先生!)
1979年度の同じ作曲者による課題曲「プレリュード」を彷彿とさせる。
(当時、自分は小6だったので、リアルタイムでは知らないが・・・)
冒頭部分を過ぎた後に現れるクラリネットの動きや、ラスト前のクラリネットの重なり方、そしてトムトムの音型がまさにそれ!
聴いていて、スコアを見ていて、なんだか懐かしくなってしまった。
ただ、トゥッティが少ないので、全パートにある程度の技量は必要だろう。
全体合奏で仕上げていくというよりは、パートやセクションで詰めていくべきなのだろう。
そういう意味では、逆に課題のハッキリした曲だとも言える。
(そしてそれは、課題曲として理にかなっているとも言える)
あえてトゥッティの少ない仕上げにしているわけだが、それを薄いと言ってしまえばそれまでなわけで、それを嫌う団体は避けた方がいいだろう。

4番の「天馬の道」も、連盟のホームページ上で冒頭を聴いた時ほど、印象は悪くなかった。
中高生は好きなんだろうなぁ〜。
全体で攻めていきたいバンドには、この曲はいいかもしれない。
ただスコアを見てみると、案外ハダカの動きも多いのだが・・・CDで聴いた感じでは、それほど分からないので、サウンドで勝負すれば大丈夫だろうか・・・?
ただ、この曲も中間部あたりに来た時に、もう飽きてしまった。

5番の「火の断章」は・・・ちょっと期待はずれ。
どう展開していくのかと楽しみにしていたのだが、最後までこれといったアプローチがないまま終わってしまった。
ポルタメントやグリッサンドを多用した技法は、結構実験的というか、遊び心がある感じだが、最後まで明確なテーマ(メロディーも内容も)がないように思う。
「セリオーソ」があるなら、この曲が課題曲に選ばれる利点を感じない。
それなりに技量のある団体が、自由曲に勝負をかけて、さらっと演奏する分にはいいのかもしれない。


自分が一番好きなのは、3番の「セリオーソ」だ。


2006年度の木下牧子先生が書いた「パルセイション」もそうだったが、無理のない感じで、高い効果を発揮していて、さすがだと思う。

課題曲には一応基準音域があるのだが、お二人の先生方は、それをある程度守りながら素晴らしい作品を書き上げている。
(セリオーソは、B♭クラリネットの音域がちょっと高い所はあるが)

連盟は課題曲選考のための「朝日作曲賞」の要項の中に、「技術的に無理のない曲」という項目を掲げているが、公募作品には結構無視しているものもある。
(ものすごく困難なものはないにしても・・・)
委嘱作品の方が、それを守りながら、良い作品に仕上げていると思う。


聴いていても、スコアを見ていても楽しいのが「セリオーソ」。
今回の中では、一番演奏時間の長い曲だが、一番飽きがこない。

「プレリュード」を知っていると、ラストの5小節はちょっと取って付けたような感じもするが・・・
あれがあるからこそ、強い「厳粛」が主張されているとも云えるだろう。


自分が中学生だったら、
「セリオーソのメロディー、吹きてぇ〜!」
と、大騒ぎしているだろうなぁ〜・・・。

by adacha | 2007-12-27 21:47 | 吹奏楽 | Comments(0)

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