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スタジオの仕事

コンサートやライブもいいけど、スタジオのレコーディングの仕事もおもしろい。


レコーディングの仕事は、ほどんどが初見だ。事前の準備などない。
スタジオに行って初めて楽譜を見て、一度デモ演奏を聴いたりして、その後すぐ本番だ。
プレイヤーの読譜力やリズム感を問われる、厳しい現場だ。
そして周りの音をよく聴いて、アンサンブルしなければならない。


スタジオの仕事でいいと思う所は、その現場にいる人間がそれぞれの役割に責任感を持ち、短い時間で相手を信頼したり、敬ったりする所だと思う。

プレイヤーは、とにかく与えられた楽譜をしっかりと演奏する。そして最終的にはプロデューサーを信じ、仕上がりに関しては一任する。
「あそこで音をはずした」とか「あの音の音程が悪かった」などの個人的な反省があったとしても、プロデューサーが全体の流れを聴いてオッケーなら、それでいいのだ。
これは決して妥協ではない。個人的なミスよりも全体のことの方が大切なのだ。
個人的なミスで時間を費やすことは、自己満足なのだ。

プレイヤーはプロデューサーを信じることが重要だ。
せっかくのオッケーのテイクに意見するなんて、相手の判断を侮辱しているようなものだ。


プロデューサーだって、プレイヤーにあれこれ意見したりしない。プレイヤーを信じて時間を与えてくれているのだ。
たとえ初対面でも、現場に来たプレイヤーを信頼し、そしてある程度の自由を許してくれる。
あまりにニュアンスが違う場合は意見もされるが、必要以上のことは言わない。


どこかの偉い指揮者の先生のように、あれこれ意見したりはしない(まぁ、クラシックの場合は仕方ないのかもしれないが)。

プレイヤーだって、言われなくても分かってるのだ。
いや、そういうプレイヤーでなくてはいけないのだ。

スタジオのようにお互いの役割を認め、それぞれが責任を持って仕事をし、一瞬にして強い信頼関係を築ける現場ってすごいと思う。


もちろん、いい加減な仕事は出来ない。
「誰が呼んだんだ?」と声をかけてくれた人間の顔に泥を塗ることになる。
「今回は仕方ないけど、2度と呼ぶな!」と自分の首をしめることになる。
特に自分クラスのプレイヤーにとっては、真剣勝負だ。
いい加減なプレイをする人間に何度も声がかかるほど、仕事っていうものは甘くない。

まぁ、これはスタジオに限ったことではないけど・・・。


久しぶりにレコーディングの仕事をして、もっともっと頑張らなきゃいけない!と感じた。

by adacha | 2006-03-01 22:41 | 音楽(ノンジャンル) | Comments(0)

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